シェーンベルク(Arnold Schönberg)の合唱曲に「地上の平和」(Friede auf Erden)というのがあります。このブログをお読みになる方ならたいていご存知の曲ではないかと思うのですが、さて、皆さんはこの曲、お好きでしょうか。
私が「地上の平和、好きですか?」と聞かれたら、口ごもりそうな気がします。いや、名曲であることは疑いないですし、クライマックスの部分はとても好きですよ。でも、口ごもるだろうなあ。というのは、クライマックスに至るまでの長い部分がなんだかよく分からないんですね。まるで、最後の1分間のクライマックスのために、その前の8分間を辛抱しているような感じです。
ところが、そんな私の常識を打ち破ってくれる演奏を聴くことができました。やってくれたのはEric Ericson。Eric Ericson Chamber Choirを率いた名演を集めたアルバム「Treasures」、その最後に収められた「地上の平和」の演奏です。
このコンビの演奏ですから、合唱団の技術的には申し分なく、澄んだハーモニーを聴かせてくれます。でも、なにより驚かされるのは、最初の一音から、音に必然性が感じられることです。音楽の構成が素晴らしい。この感覚が、クライマックスに至るまでの8分間、ずっと続きます。これは、本当に驚くべきことです。
私は、この演奏を聴いて、初めて「地上の平和を歌ってみたいなあ」と思いましたよ。まあ、実力的に可能かどうかは置いておくとして、こう思わせてくれるほど魅力ある演奏だった、ということです。
Ericsonの「地上の平和」というと、すぐに、ストックホルム放送合唱団を率いた有名な録音が思い出されますが、今回聴きくらべた感じでは、「Treasures」のほうがいいと感じました。他団を含めても、抜きん出た演奏だと思います。
Eric Ericson & Eric Ericson Chamber Choir. "Treasures"
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