2008年4月25日

Stämning (The Real Group & Eric Ericson)

最近聴いて「これは凄い!」と思った音源を紹介します。とはいえ2002年に発表されたCDですし、ご存知の方も多いと思います。スウェーデンのアカペラグループ The Real Groupの「Stämning」というアルバムです。邦題は「スタムニング」となってますが、どう考えても「ステムニング」のほうが近いと思います。スウェーデン語で、手元の辞書では英語の pitch, key, tune という意味とあります。

アカペラグループの演奏というと、ポップスやジャズの曲が多いですよね。彼らも普通はそうです。が、このアルバムだけはそうじゃない。スウェーデンの伝統的な歌曲をクラシックの合唱スタイルで演奏しているのです。取り上げているのはアルヴェーン、ステンハンマー、ペッテション=ベリエル、ウィカンダー、リンドベリなど。例えば、アルヴェーンの Uti vår hage、ステンハンマーの Sverige や I Seraillets have (3つの合唱曲の第2曲ですね)などは北欧ものファンでなくても一度くらいは耳にしたことがあると思います。
しかも、このアルバムではあのエリック・エリクソンが指揮をしています。ただ、この組合せ自体は変なことではありません。The Real Group のメンバーは元々スウェーデン王立音楽アカデミー(Kungl. Musichögskolans)の学生で、在学中に The Real Group を結成したのだそうです。一方、エリック・エリクソンも1951年からスウェーデン王立音楽アカデミーで教鞭をとっています。在学中にエリクソンと出会っていたのでしょう。というか、在学中は合唱団に属していたとか聞いたことがあるような?
で、演奏なのですが…これがとてつもなく美しい。無駄な力の入っていない、アカペラグループらしいとても心地の良い響きを基調にして、息遣い一つ一つに微妙な表情の変化を乗せ、繊細な音楽を聴かせてくれています。5人の息遣いの合い方も絶妙です。多くの曲はいろいろな合唱団の演奏を聴いたことがありますが、こんなに静謐で繊細でニュアンスの豊かな演奏を聴いたのは初めてです。少人数アンサンブルでこんな演奏ができたらなあ、やりたいなあ、と心底思います。

合唱をやる人なら一度は聴いてほしい、それくらい素晴らしいアルバムです。

ちなみに、The Real Group のオフィシャルサイトでDRMなしMP3形式のダウンロード販売をやっています。10ユーロと、ダウンロード販売としてはちょっと高めですが、ここで買うというのもありです。というか、私はダウンロード販売で買いました。

2008.04.25. 追記:よく見ると、このアルバムタイトルは、最後の曲であるペッテション=ベリエルのStemningと同じ発音ですね。たぶん、これとかけているんでしょう。というわけで、やはり「ステムニング」が近いと思います。

スタムニング
スタムニング
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2008年4月24日

American Choral Music, 1870-1923

アメリカ議会図書館(the Library of Congress)が American Choral Music, 1870-1923 というページを公開しました。プレスリリースによれば、南北戦争直後から約50年間に発表されたアメリカの合唱曲のうち26曲について、楽譜全ページの高解像度画像をパブリックドメインで公開するということのようです。このプロジェクトにはアメリカ合唱指揮者協会(the American Choral Directors Association)が協力しているようです。


で、どんな曲が公開されているかということですが…実は全く知らない曲ばかりです。それどころか、作曲家も知らない人ばかりです。Amy Beach, Dudley Buck, George W. Chadwick, Mabel Daniels, R. Nathaniel Dett, William W. Gilchrist, Margaret R. Lang, Horatio W. Parker…ご存知の方、いらっしゃいますか?

とはいえ、楽譜をざっと眺めた限り、パートソングのような感じでかなり易しいと思われます。それに加えてパブリックドメインということなので、自由に印刷して構わないわけです。いい曲があれば、演奏してみてもいいですね。

2008年4月16日

SoaringLeap.com - The Official Blog of Composer and Conductor Eric Whitacre

日本でも木下牧子さん、松下耕さんなど、作曲者自らブログを開いている例が増えてきましたが、海外はさらに先を行っています。
リンクを張ったのは、あのEric Whitacreのブログです。海外の合唱記事を読んでいてたまたま知りました。自分の作品のことなどが書かれているのですが、彼の場合はこれにとどまっていません。Myspaceに自分のWWWを開いています。Myspaceと言えば、アメリカではミュージシャンが大勢参加しているコミュニティサイトとして知られており、自分の音源を公開するなどのプロモーションの場としてよく使われています。Whitacreのページでも、彼の作品の演奏を何曲か聴くことができます。YouTubeにも自分のページを持っていて、自ら動画を投稿しているようです。
日本で自らの作品の音源や動画まで公開されている合唱作曲家というと、長谷部雅彦さんくらいでしょうか。日本の場合、音源をインターネット上に置くことにいろいろ制限があって、なかなか難しいのかもしれないのですが、Whitacreの活動くらいのことは自由にできるようになってくれた方が、聞き手・歌い手にとってもいいのになあ、と思います。

2008年4月6日

今年のNコン課題曲雑感

遅ればせながら、ようやく今年のNコンの課題曲お披露目の番組を見ました。


やっぱり何かと物議をかもしそうなのが、中学の部のアンジェラ・アキの曲ですねえ。いや、いい曲だと思いますよ。アンジェラ・アキらしくソウルフルだし、でもちゃんと中学生が歌うことを意識した曲になってるし。本人が歌うことを前提にした曲とは違いますね。ソウルフルの「ソウル」がより純粋な感じのような気がしました。中学生はとっても気に入ると思うし、共感を持って歌えると思います。

ただ、これを合唱コンクールの課題曲として位置づけると、ちょっと微妙だなあ。まず、自由曲どうするのかなあ。これを歌ったあとに超絶技巧の現代曲などをもってくるのはプログラム作りとしてどうかなあと思います。それから指導者の問題。せっかく中学生が共感できるのに、その気持ちを受け止めた曲作りができるかどうか。雨森文也さんは成功していたけど、野本立人さんのほうはイマイチだったように思います。最後に審査員の問題。これまでの例から考えて、こういうポップス系の曲の演奏を正しく評価できる人が充分確保できるとは思えないんですよね。

それにしても、雨森さんはさすがですね。アンジェラ・アキの持っているソウルの側面をちゃんと見抜いて「まず気持ち!」と言っていますし、しかも中学生から気持ちを引き出して表現させていますよね。手拍子の入った時の歌い手のいい表情といったら!

夏帆「合唱って本当に体力を使うんです」 - 映画『うた魂♪』初日舞台挨拶 | ライフ | マイコミジャーナル

夏帆「合唱って本当に体力を使うんです」 - 映画『うた魂♪』初日舞台挨拶 | ライフ | マイコミジャーナル

合唱を題材とした映画「うた魂♪」の初日舞台挨拶の取材記事です。
合唱を取り上げた映画って時々出てきますよね。私はあまり映画を見ませんし、ドラマとしての合唱よりも音楽としての合唱に触れていたい人なので、見てみたいという気はあまりないのですけど、世間はそうでもないのでしょうか。決まって部活が舞台となるのもなんだか…

2008年4月5日

八分音符の憂鬱: DATの絶滅と音源の消滅

八分音符の憂鬱: DATの絶滅と音源の消滅

作曲家の吉松隆氏のブログから。吉松氏宅のDATデッキが壊れてしまい、過去のコンサートや放送出演の記録などのDAT音源がゴミになってしまったという話です。
いやー、人ごとではないですねえ。私も一時期、DATを録音機材のメインとして使っていた時代がありまして、その頃のDATテープが結構残ってるんですよ。まあ私の場合はほとんどがFMのエアチェックテープですから、機材が壊れたからと言ってそんなに被害はないのですけど、ごく少数、自分の出演した演奏会の録音なんかがありますし。
幸いなことに(?)私の場合、最後のDATウォークマンとなった SONY TCD-D100 を入手しているので、吉松氏のような事態にはまだならないと思うんですけど、これが故障したら、間違いなくDATテープは燃えないゴミと化します。少しずつDAT音源の取り込みは進めていますが、ディジタル入力のできるiMacを購入したことですし、取り込み作業をいっそう進めないといけないですね。