2005年2月24日木曜日

武満徹の「うた」


もっとも好きな合唱曲を3曲挙げるとしたら、マルタンのミサ、ピッツェッティの「3つの合唱曲」、武満徹の「うた」となるだろう。この選択は学生のときから10年来変わっていない。このうち「うた」は、ある面でかなり異端である。というのは、「もっとも合唱曲らしくない合唱曲」であるが故に好き、だからである。


SfHさんがブログで書いているように、「うた」には様々な要素が聞き取れる。それも至極自然なことだろう。デューク・エリントン(言わずと知れたビッグバンドジャズの巨匠)を愛し、自らの「うた」を石川セリに歌ってもらいたいと考え、コシミハルを「天才」と呼び、ビートルズを極上のクラシックギター曲に仕立て上げるような現代作曲家の合唱曲なのだ。いわゆる合唱曲とは全く違う。しかし、一級の音楽であり、一級の合唱曲であるのだ。


音楽を分け隔てなく愛する作曲家の合唱曲に向かうには、演奏者にもそれなりに準備がいる。合唱を愛するのは当然だが、それ以外に、合唱という音楽の形態を客観視し、相対化できる「眼」が必要であろう。「うた」を歌うには、一般的な合唱の文法にとらわれてはいけないのだ。いくつかある「うた」のCDの中で、これができていると私が思うのは東京混声合唱団(指揮の岩城宏之と言った方が正確か)しかない。


機会あるたび、そのときの自分の感性を最大限に拡げて取り組みたい。「うた」はそんな曲である。


翼 武満徹ポップ・ソングス


日本合唱曲全集 武満徹作品集 日本合唱曲全集 武満徹作品集

2005年2月11日金曜日

オランダ室内合唱団のMartin


Signals from Heavenは、以前リンクの依頼をいただいて以来、楽しみに読ませて頂いているサイトである。ここのWeblog「Night Signal」の「印象に残った今年のCD 2004(Night Signal)」を読んで気になっていた、オランダ室内合唱団(Netherlands Chamber Choir)のマルタン(Frank Martin)のCD(Q DISC 97056)をようやく聞くことができた。


マルタンのミサは私の合唱観に大きな影響を与えた曲であり、最も好きな合唱曲の一つである。しかし、なかなかいい演奏に巡り会うことが出来ず、未だにストックホルム放送合唱団(Rundfunkchor Stockholm)の演奏を凌駕するものはなかった。


しかしこのCDの演奏は、今まで私がこの曲に持っていたイメージを覆す、いい意味で凄い演奏だった。大気のように漂う和音にさざ波が立ち、やがて大きなうねりになっていく。現代の合唱曲に通じる音である。マルタンは20世紀の作曲家であったのだ、という、当たり前のことを再認識させられた演奏であった。

2005年2月10日木曜日

福島雄次郎氏の訃報


アクセスログを見ていて発見した、たーさんのブログで福島雄次郎氏の訃報を知る。

72歳ですか…はもーるの指揮者のお元気な姿を見ていると、72歳なんてまだまだお若いのに。


「南島歌遊び」は、日本の無伴奏女声合唱曲の走りみたいな曲であったと思う。私がこれを知った頃、トマジ(Henri Tomasi, 1901-1971)の「12のコルシカの歌」がコンクールで取り上げられていて、似た色合いの曲だと思ったような覚えがある。透明な響きを無伴奏で聴かせる日本の女声合唱曲はそれまでなかっただけに、鮮烈であった。一方で、割と土着色の強い曲なので、今のようにあちこちの中高で歌われるようになるとは意外な感もある。私にとっては、いまだに鹿児島女子高の名演あってこその「南島歌遊び」である。